『オイディプス症候群』読了

笠井潔著、光文社カッパ・ノベルス刊。
2003年度このミス10位作品。
まず言いたいことは、長すぎ。
新書サイズで厚さが四センチくらいあって、ページ数が七〇〇を越える。
昨年の十二月半ばから読み始めて、読み終わったのが今年の二月初旬。
まあ、長いのは別に良いのだが、これを一冊で出す必要があるのかどうか、甚だ疑問である。
京極夏彦氏のヒット以来、こういったむやみに分厚い本が多く出回るようになったのは、正直な話、何とかしてもらいたいという気持ちである。
普段の読書場所が電車内なので、立って読む時は非常に読みづらい。
まあ、内容に関係ない愚痴はこの程度にして、そろそろ書評に。

読んで初めて知ったのだが、連作ミステリーの最新作である。
当初、知らずに読んでいて、随分と具体的な伏線が多いなと思ったのだが、途中で連作であることに気付いた。
まあ、一話完結型の作品なので、これだけ読んでも内容が分からないということはない。
さて、この作品の特徴を一言で言い表せば、「哲学ミステリー」とでもなるのだろうか。
主人公が哲学者で、周辺の登場人物も哲学者や哲学の知識を持った人物で構成されている。
会話や謎解きも半分ほどは哲学的な内容で行われ、知識がなくても分からないことはないが、無論あった方が楽しめるはずである。
かくいう私自身もそれほど哲学に詳しくはないので、内容の完全把握はできなかったものの、ストーリーはなかなか楽しめた。
ただ、哲学、民俗学、歴史学系の会話や説明が非常に長いので、そういったものを受け付けない人には読めない作品。
作品としての出来はかなりのものだと思うので、このミス10位止まりという原因は、この辺りにありそうだ。
ちなみに主人公が論理学的な推論で事件の謎を解いていくのだが、他人の推理を物証に乏しい推論と否定しておきながら、自分の言っていることも同じくらい物証に乏しいのではないかと思ってしまった箇所があり、この辺りをもう少しわかりやすくすれば、またちょっと違った評価になっていたかもしれない。

とりあえず、興味がある人は読んで損のない作品である。
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by clhaclha | 2007-02-12 21:53 | 読書感想・書評
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