毎年思うことだが、過ぎた一年を振り返ると、いつも「あっという間」としか感じられない。
時間の観念というのは面白いもので、暇でやることがない時は、ダラダラと流れていく時間がものすごく長いように感じられるのだが、後から振り返ってみると何の思い出もなくて、あっという間に過ぎ去ったように見える。逆に忙しくて色々とやることがある時は、時間がいくらあっても足りないくらいに速く過ぎ去ってしまい、まさしく光陰矢のごとしといったふうなのだが、後から振り返ってみると、あれもやった、これもやったと、色々な思い出というか記憶が蘇り、随分と長い時間を過ごしたのだなと実感してしまう。 結局、人間の時間感覚というものは、思考できる素材の量によって決まってしまうものなのだろう。思い出とともに、人間は時間を得るわけだ。とすると、記憶喪失の人はそれまでの時間を持たないことになる。その時点までの記憶を持たないのだから、時間の流れのある一点で、突如としてそこに現れる。もちろん、生物学的な個人は誕生した時からずっと生き続けているわけだが、『人格=時間』という考え方では記憶を失って目覚めた時が、つまりその人格の誕生した時となり、その人が現れた瞬間となる。 そうすると、たくさんの思い出を持っている人はたくさんの時間を過ごしてきた人で、思い出のあまりない人は少しの時間しか過ごしていないという理屈になる。思い出の量が多ければ、それだけたくさんのものを持っているということで、抱えているものが大きい、重いということだ。つまりそのような人格から発せられた言葉は、重く心に響くように感じられるのだろう。 「あっという間」に過ぎた一年というのは、とても忙しかったように聞こえて、その実、空虚な一年だったということだ。これといった思い出のない、ただの繰り返しの毎日を積み上げていっただけの日常である。こういうと平凡な日常を否定しているようにも聞こえるが、そうではない。心の安寧という意味で日常は不可欠だと思う。しかしそれだけではなく、常に何かを求める心の指向性というか一本筋の通った生き方が必要なのではないか、と思うわけだ。 そう考えると、随分とそぞろな毎日を送ってきたのだという反省の気持ちが首をもたげてくる。それを省みて今年の目標を新たに誓うのだが、常に三日坊主につきまとわれるのは、もはや何ともいたしがたい。「ここは毎日、肝に銘じて」と一念発起するのも、もはや新年のイベントとなってしまった感がある。 #
by clhaclha
| 2007-01-01 17:11
| エッセイ
昨日の日記に書いた通り、今日は房総の先、鋸南町にある『ばんや』に食事をしに行ってきた。
ばんやについては以前にも書いているので詳しい説明は省くが、地元の漁協が運営している食堂である。 本日の目的は寿司と、季節の一発ネタでもあれば一度食してみようというもの。 正午頃に秋葉原を出て、友人の車で高速道と一般道を乗り継ぎ、二時間ほどかけて到着した。 以前に来た時はいずれも夕方の混んでいる時間帯だったのだが、本日は午後二時過ぎということもあり、空席がちらほらと目立つ。 並ばずに席に座れたのは初めてである。 さて、席について取り敢えずメニューを眺める。 期待に反してカニやエチゼンクラゲなどの名前は見当たらず。 当たり障りのない魚介類の名が並ぶ。 仕方がないので、まだ食べたことのない『ばんや寿司』と『いさきの塩焼き』を注文。 ばんやには『ばんや寿司』と『850円寿司』の二種類があって、前者が1470円、後者はその名の通り850円である。 今まで850円寿司しか食べたことがなかったので、今日は奮発して高い方のばんや寿司を注文。 他に、名前しか知らない魚『いさきの塩焼き』も重ねて注文する。 さて、待つことしばし。 まずやってきたのは、ばんや寿司。 その日水揚げされたばかりの魚が出てくるので、非常に活きが良い。 そして、揚がる魚は日によって違うので、毎日違うネタとなる。 本日のネタはこの通り。 ワラサというのは初めて聞く名だが、見た目の通り、ブリのような味と食感である。 寿司はいずれも美味。 次は、いさきの塩焼き。 どうやら青魚のようだ。 食べてみると、アジの塩焼きと全く同じ。 ちょっと拍子抜けだが、まあでも美味いので良し。 しかしこれだけではちょっと量が足りないので、更にいかげその唐揚げを追加注文。 こちらは写真なしだが、結構なボリュームである。 が、油が良くないのか、随分べっとりとした感触。 ネタが良いだけに、油の悪さは非常に残念である。 たまたま油が古くなっていただけなのか、それとも経費削減のために古い油を使い回しているのかは分からないが、味にはもっと拘ってもらいたいものだ。 さて、そんなわけで今回の房総寿司旅行は終了。 一発ネタを食すことができなかったのが非常に残念だが、無いものは仕方がない。 次回は夏にでもという話なので、運が良ければマンボウの刺身を口にできるだろう。 特に美味いわけではないのだが、やはりこういうものには何かしらのネタが欲しいと思ってしまうものだ。 深海魚でも水揚げされてないだろうか。 #
by clhaclha
| 2006-12-30 23:54
| 日記・雑感
昨日から冬休みに入った。
自分で言うのも何だが、私としては珍しいことに、既に家の掃除を終わらせてしまった。 もっとも、大掃除というほど大袈裟なものではなく、寝室と書斎(本&パソコンの部屋)に掃除機をかけて多少整理をし、ゴミを捨て、布団を干したくらいである。 しかし、普段は掃除機をかければ良い方という程度のものであるから、それに比べれば快挙と言ってもいいかもしれない。 ……快挙は言い過ぎか。 ただ、急いで部屋を片付けたのには訳があって、会社の同僚から購入したパソコンが届いたのだが、書斎が散らかっていたために開梱するスペースが無く、仕方なく片付けたというのが事の真相である。 もともとサーバ機だったので外回りは随分と大きく、おまけにディスプレイも20インチとかなり大きい。 そんなに広い部屋ではないので、とにかく目一杯にスペースを確保しなければ、開梱作業ができないのである。 さて、話は変わるが、明日は友人と房総の方へ食事がてらドライブに行く予定である。 ゴールデンウィーク頃だったと思うが、日記にも書いた『ばんや』が目的地だ。 この店に行くのは今回で四度目となるが、ネタが新鮮で味もなかなかのものなので、何度行っても飽きない。 夏にはネタ料理『マンボウの刺身』があって、これがなかなかに不味いのだが、さて、冬には一体何があるだろう。 話のネタになるような料理があれば、是非とも食してみたいものだ。 まあ、あまりにもゲテなものは遠慮したいが。 真っ当にカニでも食べられれば満足である。 #
by clhaclha
| 2006-12-29 23:44
| 日記・雑感
夕食の買い出しに近所のスーパーへ行くと、入り口を入ったところの籠に柚が積まれていた。
山積みとまでいかない柚の側には貼り紙で、「12月22日は冬至です。」 柚といえば、思い出すのは柚風呂である。 子供の頃は近所の木になっているのをもらったり、あるいはスーパーで買ってきたりして、一つ丸ごと湯船に浮かべたものである。 入浴剤と違って、匂いに品があるのがよろしい。 風呂上がりにしばらくは柑橘系の香りが漂うのが実に心地よい。 湯の中で揉んだりしなければ一週間くらいは保っていたので、この季節の風呂といえば自然と柚の香りが思い出される。 冬節という言葉がある。 文字通り「冬の季節」という意味もあるのだが、もう一つ「冬至」という意味もある。 もうかなり前に書き始めた短編小説のタイトルが「冬節」なのだが、これがなかなか思うように筆が進まず、途中まで書いてずっと放置している。 ストーリーの大まかなところは決まっているのだが、台詞回しなどで納得のいくものが書けず、思うように仕上がらないのだ。 一つの台詞を何度も何度も書き直し、それでも気に入らなければそこに至るシーンから書き直す。 そんなことを続けているから、話は遅々として進まない。 まあ、今に始まったことではないのだが。 今年の年末年始はカレンダーの都合上、有休を取って12連休となった。 社会に出て初めての二桁連休である。 そうそう取れる大型連休ではないし、最近滞り気味のホームページ更新をまとめてやってしまおうかと思っている。 書きかけの短編を仕上げるのも面白そうだ。 何とか頑張ってみようか。 #
by clhaclha
| 2006-12-21 22:07
| 日記・雑感
閉場間際の安売りを狙って行ったものの、初日に使いすぎたのが響いてろくな買い物ができず。
今日は目の保養と割り切って楽しむことにした。 まずは入り口脇の展示である。 初日はとにかく良いものを確保するためにさっさと中へと入ったので、視界の隅には映っていたものの、どんなものが展示してあるのかまったく分からない。 まあ、中央にでんと鎮座しているものは分かっていたのだが。 恐竜の化石ばっかり。 頭骨や壁に掛かっている海棲爬虫類の化石はレプリカなのだが、人間ほどもある大腿骨の化石は本物。 床に転がっている巨大なアンモナイトも本物である。 化石以外にも色々な大型標本が展示されていて、巨大な水晶や晶洞中に発達した紫水晶などは当然のように並んでいる。 その中で気になったものはこれ。 菊花石の大型標本。 国の特別天然記念物に指定されている石で、緑色岩・石灰質粘板岩中に白~淡紅色の方解石が菊花状に成長したもの。 左下の値札には、少々見にくいが4,800,000の数字が。 まあ、天然記念物ならばこんなものか。 というより、どこで入手したんだろう……? 次は会場内の特設展示場にある特別展を覗いてみたが、至る所に撮影禁止の表示が。 内容としては軟玉に代表される中国の貴石類(玉石)の展示だったのだが、正直な話、あまり興味をそそられなかったので軽く流して終了。 昨年の特別展は、立体的な魚類化石の展示とクリーニングの実演ということで、結構楽しめたのだが、今年は随分とグレードダウンした感が否めない。 しばらくうろうろして、一昨日からちょっと気になっていたオレンジカルサイトのランプを置いているブースへ行く。 これは高さ20㎝くらいのオレンジ色の石灰岩の中をくりぬいて、電球を入れて中から照らすというもの。 オレンジ色の淡い光が漏れて、インテリアとしてはなかなかのものなのだが、如何せん値段が高い。 表示価格12000円というのはいくら何でも高過ぎはしないか。 値切り交渉をするも、10800円でそれ以下は無理とのこと。 これで6000円くらいの値段なら結構な数が売れそうではあるが、さすがに10000円を超えるとなかなか売れまい。 モノがしっかりしているだけに、この価格設定は惜しまれる。 ちなみに通路を挟んで向かいのブースには岩塩製の似たようなランプが置いてあるのだが、これはさすがに溶けて無くなるので買う物好きはいないだろう。 さて、そんなこんなで人が捌けてきた頃合いを見計らって、一昨日ジャイロライトを購入したブースへ足を運ぶ。 『GEROLITE』ではなくて『GYROLITE』である事を伝えると、「ああ、それなら聞いたことありますね」と納得していた様子。 「同じジャイロライトで、こんなのもあるんですよ」と見せてもらった標本は、晶洞中に水晶と薄黄緑色の小粒なジャイロライトが共生しているもの。 水晶の透明度が高くてかなり見た目が良い。 大きさも掌に乗るサイズだ。 値段を訊くと6000円とのこと。 「お安くしますよ」と言ってもらったのだが、初日に使い過ぎていることもあって断念。 初日だったら買っていただろうな、と思う石だ。 その後はアフリカに行ったらこんな石が欲しいだとか、オレンジカルサイトのランプが高いから作って売る気はないかとか、益体もないことを話しているうちにお客さんが来たので退散。 その後閉場までぶらぶらと石を眺める。 六時半になって閉場のアナウンスが流れ出した頃に、標本を飾る台を見付ける。 ここのところ標本が増えて床置き状態となっているものが多いので、試しに二点ばかり購入する。 左の大型が450円、右が350円。 家に帰って大型の群晶水晶と、魚化石を乗せてみると、これがなかなか具合が良い。 明日、買いに行けないのが非常に残念だが、またどこかで見掛けた時にでも買うとしよう。 できれば次回は、20㎝級のホランダイトを乗せる台を見付けたいものである。 そんなわけで今年の池袋ショーは終了。 初日に偏ってしまったが、なかなか良いものを買えたと思う。 #
by clhaclha
| 2006-12-17 22:49
| 石
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