金原ひとみ著、集英社文庫刊、第130回芥川賞受賞作。
三年前に綿矢りさ氏の『蹴りたい背中』とダブル受賞して話題になった作品。 個人的には『蹴りたい背中』を読みたかったのだが、そちらはまだ文庫化されていないようで、たまたま文庫化されているのが目に付いた本作を衝動買いしたもの。 例によって、内容についてはあまり言及しない。 読み始めて最初に感じたのは、村上龍を彷彿とさせる雰囲気を持った作品だということ。 そう思って読み終えると、巻末の解説が同氏だったというオチがあった。 どうやら村上龍推薦作らしい。 感想としては「よく分からんな」というのが正直なところ。 解説で村上氏がポイントとして挙げている二点もそうだが、それ以上に全体的に理解しがたい内容だと思った。 理由としてはおそらく、普段の自分の生活や価値観からあまりにも懸け離れているからだろう。 少なくとも作中の登場人物のような知人は一人も居ないし、過去に付き合いがあったということもない。 以前、バイトで一日だけ一緒に働いたことのあるパンク系の人と話したことはあるが、中身は意外とありきたり(といっては失礼だが)な人物だったので、結局そういうふうに染まった人物との接点はない。 かなり強引に喩えると、初めてサイバーパンクに触れた時のような感触だろうか。 なにか「すごい」という感じはするのだが、どこがすごいのかはっきりと表現できない、そんな作品である。 選評には「作者と登場人物の共生」と表現されていたが、ルイ(主人公)の視点で、その時のルイが感じていること、思っていることをルイが持っている言葉で綴っている、というような解釈で良いと思う。 そういった直感的に理解できない感性によって書かれているわけだから、やはりこれは直感的に理解できない作品となる。 この作品を否定するつもりは毛頭ないが、自分には専門外だなというのが感想だ。 結局、第一印象の通り、自分には合わない作品であったことを確認できたのが、収穫といえば収穫か。 まだ「目」は衰えていないらしい。 さて、もう一つの受賞作である『蹴りたい背中』が文庫化されるのはいつのことやら。 こちらは読んでみたいと思った作品であるから、ちょっと期待している。
by clhaclha
| 2006-07-17 06:32
| 読書感想・書評
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